アフリカ日記④
岡井雄介
キリマンジャロ登頂3日目
こんばんは。
僕は今、キリマンジャロの3750mのキャンプ地のテントの中で日記を書いています。
現在午後9時辺りです。
登山の朝は早くて大体、朝5時に起きて5時半からご飯を食べて6時半までには出発です。
それから約9時間登るのが日課です。
タンザニアは雨季です。
アフリカの雨季というと想像しにくいかもしれませんが、キリマンジャロは雲が集まってくるので日光が出るのは午前中の数時間だけです。
午後になると霧と曇りになってそれが雨になります。
僕らが次のキャンプ地に着く頃には雨が降っていてびしょ濡れです。
雨は体力と体温と気力を奪います。
体調を崩すと即高山病になるので僕らは暖かい食事を食べてすぐ寝袋に包まります。
そして寝るので東京では考えられないくらい早寝早起きなのです(笑)
今夜の食事ではある会議がありました。
僕らが登頂するのは6日目の深夜から朝です。
ところが日本から送られてきた気象情報によると6日目の辺りから更に天気が荒れて登頂出来ない可能性もあるというのです。。
話し合いの末、6日で登る予定を1日短縮して5日で登る事になりました。
大幅な変更でスケジュールが変わります。
まず明日の早朝から9時間かけて4673mのキャンプ地まで一気に登って、少し仮眠を取って深夜0時から7時間掛けて登頂に挑戦するという予定です。
もちろん登った後はキャンプ地がある場所まで下山するので合計23時間の行動になります。
当たり前ですがそんな長時間の登山は健太も僕も経験がありません。
明日は僕らは体力、精神的に限界を超えることが求められるでしょう。
ちょうどこの日記を書いてる時に健太がテントの外から これは見といたほうがいいぞ と声を掛けてきました。
外に出てみると満月になりそうな月明かりに照らされて、雪化粧をしたキリマンジャロの頂上が銀色に輝いていました。
2人とも少しの間、黙ってそれを眺めて握手をしてテントに戻りました。
僕らはもう教えて貰わなくても限界を超える方法を知っています。
それは “ただ諦めずに登り続ける” という事です。
明日は星空が僕らに降り注ぎますように。
お休みなさい。